概 要

 平成15年4月に開設された本センターは、環境と人間との関係を東洋医学的観点および共生概念から見直して、「総合性の重視」、「cure(治療)よりcare(支援・介護)」、「心身一如」の思想にもとづいた、「環境健康フィールド科学」の創成と展開を行います。この目的達成のために、環境健康総合科学部門と都市環境園芸学部門を設けて、千葉大学の医学、薬学、教育学、看護学、園芸学、工学などの分野の教員が学際的に結集して、社会・産業と強く連携することにより、センターの理念と目標に即した教育研究と実践活動を推進します。





センター長 古在豊樹  

社会的背景
 20世紀は、都市に物質的な豊かさをもたらした反面、ストレス社会、食の不安、社会規範の崩壊、生きがいの喪失、高齢化社会、環境汚染、限りある資源の浪費、環境ホルモン汚染など、健康・環境・エネルギー・資源的なひずみが顕在化した時代です。21世紀の現在、このひずみの是正に膨大な社会的費用を必要としていますが、このひずみを既存の学問領域からの個別的アプローチで解消するのは不可能な状況です。

センターの使命
 そこで、本センターは、上述の社会的背景を受けて、「環境健康フィールド科学」の創成と展開を、千葉大学の全学的支援を受けた、人間科学、環境科学、生命科学および環境園芸学の総合的連携と幅広い実践的共同研究により行います(図1)。



 すなわち、人間に軸足を置いた分野(医学、薬学、教育学、看護学、環境デザイン工学、社会学、心理学等)と植物に軸足を置いた分野(園芸学、緑地植物学、薬草栽培学、植物工学等)の教育研究者が、「人間と環境植物・生産植物との共生」という共通軸と共通理解を基盤として、環境健康科学(図2)と都市環境園芸学(図3)を融合発展させた「環境健康フィールド科学」を創成し、また環境健康フィールド科学の発展のための人材を養成します(図4)。

 

 

 本センターでは、東洋医学的な心身一如の精神を活かした環境健康医学・教育を緑に囲まれた環境の中で発展させると同時に、心から安心できる園芸食物、また心が安らぐ環境植物を、都市において省資源的、環境保全的、省合成肥料・省農薬的、共生的に生産する研究を推進します。さらに、これら生産物と環境が有する、物質循環、資源再生、景観形成、開放感、達成感、生きがい創造などの多面的機能を活かした快適健康都市システムの構築を、「心と環境の時代」と云われる21世紀社会の要請として、実現します。

 センター設置の理念と使命をご理解いただき、皆様の幅広いご支援をお願い申上げます。