■■
第1回園芸療法情報交換会
■■
日時：平成15年10月20日 13:30～15:00
場所：千葉大学本部第3会議室
出席者：古在、安藤、野間、上田、本田、赤沼、大釜、徳山、池上、喜多、小宮山、戸髙（敬称略）
世話人：上田善弘
1. 情報提供：
（１）上田先生より、日本における園芸療法の現状について概略の説明があった。
-
園芸療法の歩み： アメリカでは19世紀末から始まり、1900年代後半から体系化。日本では1978年の塚本洋太郎氏の著書によるアメリカ園芸療法紹介に始まり、1990年代から松尾英輔氏、澤田みどり氏、広田氏らにより普及しはじめる。
-
関連団体（「園芸療法のすすめ」より）: 各地に施設・組織が存在する。研究・研修と銘打っているのは、近隣では東京の「園芸セラピー研究会」「日本園芸療法研究会」、神奈川の「園芸療法研修会」など。学会としては、「人間・植物関係学会」がある（後で野間先生から詳細な説明あり）。
-
園芸療法の特徴
-
園芸療法ガーデンの分類
-
日本園芸療法研究会（代表：田中 豊 氏）の取り組み
-
センサリーガーデン(sensory garden)の詳細
-
QOLと園芸療法
-
日本園芸療法研究会によるシンポジウム活動の一覧
（２）野間先生より、「人間・植物関係学会」および「兵庫県立淡路景観園芸学校」の紹介があった。
-
人間・植物関係学会について: 学会規則、学会誌の目次、講演会、シンポジウムの演題リスト等をもとに紹介があった。学会（講演会）の現状としては、各種の分野の研究者がそれぞれの立場で事例調査の結果を報告し、他の分野の研究者がそれを聞いて参考にするといった印象。われわれは出遅れてはいるが、各関連分野が集まって総合的に進めることができる強みがあるので、日本における園芸療法の中心となるチャンスはある。
-
兵庫県立淡路景観園芸学校における「園芸療法課程」
定員15名の1年間コース。カリキュラムは前期に理論（園芸療法、園芸学関連、医療・福祉関連、マネージメント）、後期に園芸療法実習。兵庫県認定の「園芸療法士」の資格、実務経験後にアメリカ園芸療法協会の「正園芸療法士」への認定登録の道。
-
第8回人間・植物関係学国際シンポジウム＆園芸療法国際サミットポスターの紹介。
２. 自由討論：
◆兵庫の「園芸療法課程」の例
・医者はいるか？ → 何人かいるようだ。
・受講した後、学んだことを生かす場所が問題。
・資格 → 兵庫県認定のものはあるが、国家資格はない。
◆Authorizeの問題
・園芸療法は作業療法の一部に含まれる。Authorizeするには厚生労働省とつながる必要がある。
・心理療法士 → 国家資格ではない。
・アメリカでは州ごとに位置付けが異なる（作業療法に含まれる／独立した扱い）。
・目標としては保険点数がつくようにする。←効果が確立されていることが重要。
◆効果等の評価方法について
・見える量としてどうやって表すか。ファジー測度なども必要かもしれない。そのあたりのことを研究している人を巻き込む。
・【心理効果】
・心理学関連の人が必要。カウンセリングに通じるのでは？
・数値化は問診表等で行うのが一般的。
・【生体反応の測定】
・音楽療法の効果としてNatural killer cell（免疫系の細胞）の活性が上昇する、という例がある。
・脳波の測定、自律神経機能の測定（脈拍など）も重要では？
・【効果を与える因子】
・効果を与える因子には多成分（多因子）が複雑に絡み合っている（関係している）。それらを解析するには多変数（多変量）の解析が必要。
◆園芸療法先進国のアメリカではどうやっているか？
・調査が必要 → 看護学部のCOE予算で？（本年度中なら可）
◆体制について
・「治療主体」の部分（作業療法の一つ）と「それ以外」の部分に分けて捉えるのが良い。すなわち、園芸療法の研究・実践には、「医学的な面」と「教育的な面（子供への環境教育、園芸教育など）」があり、それらを一緒にして考えるのではなく、分けて考える必要がある。
・大学で行う以上、学問としてどのように確立して行くかも重要。
◆今後の課題
・センターで目指す園芸療法の全体像を具体的に描く。
・概念図、ストーリーを明確にする。 → 他の人に説明できるように。
・詳しい人に来ていただき、いろいろ教えていただく。
・月に１回程度を目安に勉強会を開く。
◆調査項目
・アメリカでの体制、どのようにそれを確立したか
・国内での園芸療法の現状
・作業療法に関する保険点数について
・作業療法士のなかで園芸療法に関心のある人がどのくらいいるか
・ その他
上へ | 第１回研究会 | 第２回研究会 | 第３回研究会 | 第４回研究会 | 第５回研究会 | 第１回園芸療法情報交換会 | 第２回園芸療法情報交換会
