障害学生支援スマート種苗生産技術教育システム

 千葉大学環境健康フィールド科学センターは、 安全な園芸作物・健康機能性植物の生産および提供を実現するため、平成15年度に「高度化セル成型苗生産利用システム」を文部科学省大型特別機械整備費により設立しました。本システムは、労働集約的であった園芸生産の高度化を実現し、実践的技術教育を通して、即戦力に富む人材を輩出してきました。 
 一方、SDGsに代表するような昨今の社会的要求の観点から、大学教育の責任や役割も変化しつつあります。弊センターでは「農福連携」に関わる教育プログラムを令和元年に立ち上げ、農業経営の新たな役割や可能性について教育研究を進めてきました。さらに、2016年には障害者差別解消法が施行され、実習環境の整備を含め、障害を持つ学生への合理的配慮が必須となっています。
 これらの社会的要求に応えつつ、我が国の園芸生産の高度化をより発展させていくため、令和2年度に「障害者支援スマート種苗生産技術教育システム」が文部科学省基盤的設備等整備分(障害)運営費交付金により設立されました。本システムは、先進的な園芸生産および経営について、すべての学生が質の高い教育を受けることを可能とする国内唯一の教育環境です。そして、私たちのミッションは、大学内外に関わらず、本システムを用いた多様な人材の育成を通して、園芸産業のさらなる発展に貢献することと考えています。
 「障害学生支援スマート種苗生産技術教育システム」は、自動化播種ライン発芽室、人工光閉鎖型育苗室、 自動化移植ライン、育苗ハウスなどから構成され、本システムにより、播種・育苗・移植の自動化を図り、コストの大幅な削減および育苗技術の安定化を実現させました。また、当システムは全国初の高度生産技術教育・研究施設として稼働し、学内の実習教育はもとより、国内外の研究者・経営者当の見学の受け入れ、企業・公的機関等からの研修生を数多く受け入れています。加えて、バリアフリー化により、全ての学生が質の高い実務教育を受けることが可能な国内唯一の教育環境です。

 

自動化播種ライン

問診128穴~512穴規格のセルトレイに、大量の種子を「短時間」・「少人数」で播くことが可能
1時間で最大約15万粒の播種が可能


発芽室

検査説明植物種毎の最適な発芽環境に制御可能。
「高発芽率」・「高発芽勢」の実現。


人工光閉鎖型育苗室

施術説明「温度・日長・灌水管理の自動制御」により、外環境の影響を受けず周年生産・栽培期間の短縮が可能。また、品質が均一な育苗を実現


自動化移植ライン

説明用土および肥料の配合を自動制御し、ポットへの用土充填から移植、積上げまでを自動運転可能。

 

育苗ハウス

説明可動式強光補光装置や自己制御型ヒータなどを利用した育苗温室

 

バリアフリー温室

説明温室内もコンクリートを敷き、車椅子などの進入可能に